「杉並区子ども読書推進計画(その2)」乳幼児と楽しもう、家庭での絵本の読み聞かせ(令和4年10月1日)
「杉並区子ども読書推進計画」に関する2回目の記事です。前回は、この計画の中の一つ、学校における図書活動の推進についてご紹介しました。小学校での読書活動を充実させるために学校司書を配置していて、その結果子どもたちにとって読書が身近で楽しいものになり、結果、1年生のうちからなんと年間50冊も読んでいるのだそうです。そんな事実を知ったら、乳幼児のパパママは驚く方も多いのではないでしょうか。
今回は計画の一つである家庭や地域等における読書活動の推進から、特に乳幼児のパパママに参考にしていただけそうなテーマをご紹介します。
乳幼児の読書に関して取材しました
小さな頃から少しずつ本に親しんでもらいたいと考えるパパママは多いと思います。でも実際にはどうしたらいいか悩んでいるパパママもいるのではないでしょうか。
そこで、家庭でパパママが子どもにできる事、やったらいい事をアドバイスしていただきました。取材先は前回に引き続き、中央図書館 企画運営係の係長の佐川さん、担当の早川さんです。
なお、「杉並区子ども読書推進計画」には、保育園や幼稚園に対する取り組みも掲載されていますが、区立小学校と異なり、幼稚園、保育園ごとに取り組みは異なると考え、今回は質問を控えています。
質問1
家庭で子どもに読み聞かせをしていて、どのような本を読めばいいのか、いつまで読みきかせたらいいのか、と言う悩みをよく耳にします。そこでいくつか伺います。
質問1-1
どのような絵本を選んだらいいでしょうか。おすすめ図書以外に選ぶ時のポイントを教えてください。
回答1-1
子どもへどんな本を選んだらいいか悩んだら、図書館などにおいてあるおすすめ図書リストにあるものを参考にしていただくとよいと思います。他には昔からある絵本の中から選ぶのがおススメです。大人向けの本と異なり、絵本は昔からあって現在も読まれているものがとても多いです。パパママが子どもの頃に好きだった絵本も、きっと現在も読み続けられていると思います。ぜひ探して一緒に読んでみましょう。
選ぶ時は、実際に子どもの反応を見ながら選ぶのが良いでしょう。図書館司書にはできない親の特権ですよ。親が子どもと一緒に楽しみながら選んでいくのが一番ですよ。選んだもののつまらなければ、途中でやめてしまっても大丈夫です。
また、おすすめの絵本に共通する事は、1ページ当たりの文字が少ない事。絵本を読む時、大人は文字を追うのですが、子どもは絵を見る。図書館などの読み聞かせに参加している時も、大人は聞いているのに文字を追ってしまうんです。同じ本なのに実は見ているものが違います。だから、文字が多すぎると時間が長すぎて子どもは飽きちゃう。だから絵本は字が少ない方がおすすめです。
質問1-2
絵本から児童書へのステップアップはいつ頃がいいのでしょうか。
回答1-2
児童書へのステップアップの時期はその子次第です。まずは絵本を楽しめるようになって、自分で読むことができるようになると次は幼年童話(注1)に進みます。字が読めるだけではだめで、内容を理解して、楽しむことができるようになる必要があります。
(注1) 幼年童話とは、挿絵が多く文字が大きくて読みやすい本をさします。
質問1-3
小学生になったら自分で読まないとなければならない機会が増えると思います。「親が読み聞かせる」から「自分で読む」へのステップアップは、どうしたらいいでしょうか。
回答1-3
自分で読むようになるまでは、「耳からの読書」がとても大切です。まず耳で聞いて想像し、物語を楽しむことができるようになれば、自然と自分で読むようになります。読み聞かせをしてもらって物語の内容を知っている本をもう一度自分でも読む、という所がスタートです。
とは言え、読み聞かせはいくつになっても続けたいものです。読んでもらって耳で聞いていることも読書には変わりません。
ご家庭での読み聞かせは親子の時間を作るきっかけにもなります。一緒に読んで楽しんだことが、いい思い出として残っていきますよ。
質問2
家庭読書に欠かせない図書館の利用に関して、伺います。
プレパパ、プレママ、また、あかちゃんが生まれたばかりの頃や、小さな子どもを抱えるパパママにとって、あかちゃん連れでの図書館はとてもハードルが高いと感じます。そのため、図書館で設定されている「あかちゃんタイム」はとてもありがたい取り組みだと思います。
一方で、それ以外の時間帯は利用を見合わせないといけないのかなとも感じてしまいます。「あかちゃんタイム」以外の時間帯では、あかちゃんや小さな子どもと一緒に利用しても大丈夫でしょうか。また、利用を短時間で済ませるためにおすすめの方法はありますか。
回答2
杉並区では4か月検診の際に、ブックスタートと言う取り組みで、絵本と図書館の案内をプレゼントしています。絵本が親子でコミュニケーションの時間を作るきっかけの一つになればと考えての取り組みです。
「あかちゃんタイム」は、気兼ねなく図書館を利用していただくためのステップで、まずは図書館にきていただくきっかけです。また、他の利用者に、あかちゃんを連れた利用者への理解を深めてもらうものでもあります。
もともと図書館はあかちゃんから高齢者まで、年齢制限なく利用できる施設です。職員も配慮をしていくので、心配なことがあれば、ぜひ声をかけてください。
利用を短時間で済ませる方法としては、表紙がわかるように展示してある本の中から選ぶのはどうでしょうか。子どもの本の場合、いきなり予約をしようと思っても、知識がないと難しいんです。それでも予約がいいと言う事ならば、ブックリストにある本を予約するのがいいかもしれませんが、児童コーナーはゆっくりとすごして頂けたらいいなと思っています。
大人の本も一緒に借りる場合、子どもがすぐに飽きてしまうので、大人の本は予約した方がスムーズですね。
将来、絵本とともに思い出が残ります。絵本の内容よりもその思い出が大事だと思います。いい思い出があるからこそ、子どもはその絵本が好きなのです。
だから、あかちゃんが生まれた事をきっかけに、図書館へ足を運んでほしい。そう思っているのですよ。
乳幼児、小学生親子共通テーマで取材しました
前回と今回のまとめとして、子どもを持つパパママにエールとなりそうな質問をしましたので、ご紹介します。
質問1
最後に乳幼児、小学生の子どもを抱える家庭で、パパママが行う取り組みに関して伺います。
質問1-1
乳幼児、小学生の保護者に対して、図書館としてぜひ家庭で取り組んでほしい事はありますか。
回答1-1
まずはご自身が本を読むこと。本を読んでいる姿を子供に見せること。子どもの周りにいつも本があるようにすること。子育てを機会に子どもの本を読んでみること。親子で1冊の本を一緒に楽しむこと。できれば、図書館に一緒に来る習慣を作ってほしいです。
質問1-2
家読を勧められていますが、子どもが何歳頃になったら始めるのがいいでしょうか。また、おすすめの取り組み方を教えてください。
回答1-2
家読は家族で本を一緒に読んで、楽しむことを言います。家読と言うと気負ってしまうかもしれませんが、テレビドラマを一緒に見て、感想を言い合うのと同じです。図書館では親子で読める本リストも紹介しています。ぜひ一緒に読んで楽しんでください。
子どもが小さくても、本を自分で楽しむことができるようになっていれば大丈夫です。まだ読めない子でも、読んであげれば楽しめる本もあります。
パパママが読み聞かせるだけではなく、字の読める子であれば、子どもに読んでもらうのもいいと思います。子どもが音読をしているのを聞くのって心地いいですよね。親子だからこそ読み聞かせの技術なんて必要ないんです。
ご家庭によってやり方を決めて、無理なく続けてください。肝心なのは本を一緒に読む、同じ本と言う共通の話題を持つ、それをきっかけに本を読む楽しさを家族で共有する事です。家族の良い思い出になりますよ。
取材を終えて
「杉並区子ども読書推進計画」により、子どもは読書が身近なものになるように、たくさんの行政支援を受けています。取材をすると、子どもだけではなくパパママも読書に親しんでもらうきっかけになる活動なのだと気が付きました。
家庭にはスマートフォンやゲーム、テレビ、おもちゃなどたくさんの誘惑があります。その中で、本に興味を持ってもらうためには、やっぱりパパママが本と親しんでいることが一番大事。
大人になると読書から遠のいてしまう人が多いそうです。子どもが生まれた事をきっかけに、子どもと一緒に楽しむためのひとつの手段として、改めて読書を始めてみるのもいいかもしれません。たくさんのいい思い出とともに、たくさんのお気に入りの絵本ができますように。
すぎラボライター らくちゃんママ
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