48 井草観音堂 【寺院】(井草1丁目3番14号)
「久保の観音様」とも呼ばれる井草観音堂は、江戸初期に建立されたといわれています。その当時、この辺りは今川氏の所領で、下井草村字(あざ)久保と呼ばれていました。お堂の中には、浮き彫りされた高さ1メートルの如意輪観音像と地蔵菩薩像が納められています。ともに寛文7年(1667年)という造立年が刻まれており、区内に現存する石造物の中でも古い年代のもので、地域の人々によって造立されたものと思われます。
観音像には、「おくに」「おたつ」など女性の名前と思われる文字がかすかに見られ、正面左側には「榎本半内」という願主名も刻まれています。
また地蔵菩薩像には「同行十六人」という銘文があり、下井草村字久保と字向井草の16軒が講中を作って造立したものといわれています。地元では「子育て地蔵」と呼ばれ、観音様とともに幼児の虫封じ・歯痛・夜泣きにご利益があるとして親しまれてきました。
日露戦争のあった明治37年~38年(1904年~1905年)頃、付近一帯に疫病が大流行し、村中で「観音様」と「お地蔵様」の供養をしたところ、次第に病気が治って一層信仰が盛んになったという話が伝わっています。
昭和初期までは、「念仏講」もおこなわれていました。双盤(そうばん)と呼ばれる大きな鉦(かね)をたたいて講中の家々を供養してまわった後、このお堂で「百万遍のお数珠(じゅず)」と呼ばれる大きな数珠を廻しながら念仏供養をすることが習わしであったといわれています。
現在のお堂は、昭和56年(1981年)に改築されたものです。
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