86 智光院 【寺院】(松ノ木3丁目33番30号)
片岡山智光院は臨済宗妙心寺派の寺院で、本尊は木造釈迦如来坐像です。
「御府内備考続編(ごふないびこうぞくへん)」によれば、江戸時代初期の寛永7年(1630年)、上野東叡山(寛永寺)東側の車坂下に片岡大麟によって開創されたといわれています。
智光院の寺号は開基である旗本天野周防守雄光の室(北畠中納言具教の息女)の法名・智光院殿に由来しています。
元禄11年(1698年)、車坂下から浅草新谷町(現・台東区西浅草)に移り、その後中興開基とされる旗本佐藤駿河守吉次によって諸堂宇(建物)が整えられたと伝えられています。そして、武家の江戸寺として天野家・佐藤家をはじめ、伊予(現・愛媛県)の加藤家、近江(現・滋賀県)の遠藤家などの手厚い保護により寺運を伸展しました。しかし、安政2年(1855年)10月の江戸大地震では本堂の倒壊という被害を受けています。
大正元年(1912年)、区画整理のため現在地に移転し、今日に至っています。
墓地には文化・文政期(1804年~1830年)にかけて江戸北町奉行として活躍した永田備後守正道の墓があります。
また、寛正年間(1460年~1466年)造立の板碑が保存されているほか、承応4年(1655年)につくられた木造地蔵菩薩坐像も安置されています。
なお、本堂は中野区福蔵院の本堂を移築したものです。
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